今から50年以上も前の学生時代
友人と二人で
夏休みに東北地方を10日間
バックパッカーで回りました。
夜行列車の通路で寝たり、
向かいに座ったおじさんの話に
夜通し付き合わされたりして、
着いた時の事です。
当時はまだ、青函トンネルが無くて
列車ごと連絡船で
北海道に渡っていた時代です。
水上勉の
「飢餓海峡」の舞台になった
荒れる日本海の様な
暗く重いイメージをしていたのですが、
目の前にあったのは
白地に黄色とブルーが鮮やかな
青春ドラマの舞台の様な姿だったので、
びっくりしたのと、
少しがっかりしたのでした。
寝ぼけて「北海道が見える」と喜んでいたら
「あれは、下北半島だ」と
言われてしまった〜なんて言う
笑い話の様な
青春の大切な思い出もあります。
BSプレミアムで、
2011年から続いている
にっぽん縦断「こころ旅」
って知ってますか？
俳優の火野正平が、
毎年、日本を北から南まで
視聴者の思い出の風景や
記憶に残っている場所などの
お手紙に沿って自転車で回る番組で
11年も続いています。
毎年、春編と秋編が有って
平日
朝は7：45〜 15分間
夜は19：00〜30分間
BSプレミアムで放映されてます。
普通の人々の、何気ないけど
かけがえの無いない記憶のお手紙は、
どれも人間が人として
大事にしないといけない
大切なものを教えてくれる
上質な番組になっています。
モーニングタイムにピッタリで、
お勧めの番組です。
火野正平と言えば、
必殺シリーズにも出ていた
女たらしで有名な俳優でしたが、
この番組に出てから
すっかりイメージが変わってしまい、
いまや
火野正平あっての番組になって
ご本人はライブコンサートなどもして
シニアの希望の星となり
番組も
BSの看板番組になっています。
実は、
この番組の1回目の旅に、
私の手紙が採用されたのです。
2011年
この番組がスタートしたのは
東北大震災の年でした。
4月、本来なら京都から
太平洋側を北海道までのコースだったのを
北陸周りで北海道を目指して
視聴者の手紙を募集する案内を
BSの告知で知りました。
丁度、青森県の投稿を募集中で
締切まで後2日でしたので、
慌ててパソコンで文章を書いて、
校正する暇もなく送信したのです。
思い出の場所は、もちろん
数週間後、
NHKから手紙が採用されたと
連絡があり、
その後、
何回か内容の詳しい確認、
打ち合わせを経て、
放送日が知らされました。
放送当日、
ワクワクして画面に見入ったものです。
画面のなかの青函連絡船は、
以前よりもより鮮やかに色が塗られ、
明るい日差しの中にありました。
流石に、火野正平さんの朗読は上手くて、
その上、魅力的な声なので
読まれている私の手紙がまるで
青春ドラマの話の様に聴こえて
胸が熱くなりました。
後日、旅行を一緒にした友人と再会し、
当時を思い出して、
熱く語ったのは言うまでもありません。
その後、NHKから送られて来たDVDは
今でも宝物です。
この話にはまだ、続きが有って
2017年に
神無月の出雲大社に行って、
東京に戻る為に出雲空港にいた時、
丁度、
島根県に「こころ旅」の撮影で来ていて、
一旦東京に戻る火野正平さんと
出会ったのです。
一人でいる所に近づいて、
かつての
青函連絡船の手紙の本人だと
挨拶をしたのですが、
その時の、直接聞く正平さんの声は
やはり魅力的で
ドキドキしてしまいました。
この声に女の人はハマるのでしょうね。
そして、またまた
この話は続きがあって、
2018年、
ジュピターの作詞で有名な吉本由美さんが
主宰する文章クラスで、
旅をテーマにこの話を書いて作品集に
入れてもらったのです。
茜色の空と月と共に一節を載せられた冊子、
これも大事な宝物です。
19歳の時のたった一度の旅の記憶が、
縦糸になって人生を貫き、
さまざまなシチュエーションが
横糸になって横切り、
様々な模様を描き出している様で
感慨深いものになっているのです。
そして、又もや
このブログに書いているし〜！
4月から
「こころ旅」2022年 春の旅
が始まり、
毎日の楽しみが再開します。
ずっと前にグリコのコマーシャルに
「一粒で二度と美味しい」
と言うのがありましたが、
「一旅で何度も美味しい」
お一人様です。
